計算してみました・・・食パン編
投稿日:2017/02/05

先週は当院で食物アレルギーを始めた大家の先生の外来の見学をさせていただきました。多くのことを勉強させていただきましたが、食パンの話になったときに、銘柄別に含有されている牛乳の量をmg単位で説明していたのは「さすがだ」と思いました。

私もやってみました。

とあるメーカーの食パン一枚あたり

牛乳タンパク質:177mg、鶏卵タンパク質:145mg、小麦タンパク質:6190mg です。

ちなみにアレルギーを起こすのはタンパク質です。糖や脂質などは一般的にはアレルギーを起こしません。ですから、食材のタンパク質の量で考えていきます。

牛乳:牛乳1mlあたり約33 mgの牛乳タンパク質が含まれています。するとこの食パン1枚あたりには177(mg)÷33(mg/ml)=5.4mlの牛乳が含まれていることになります。牛乳10mlを飲める子はこの食パンは食べることができそうです。

鶏卵:卵1個には6273mgのタンパク質が含まれています。この食パン1枚あたりには145(mg)÷6273(mg/個)=0.023個の鶏卵が含まれていることになります。卵1/50個分が含まれており、揚げ物の衣(卵約1/8個分)やハンバーグのつなぎの卵(卵約1/4個分)が食べることができる子はこの食パン1枚は食べることができそうです。お菓子になると、商品や食べる個数によって個別対応が必要です。

小麦:パンは麺類と比較すると小麦タンパク質が多く含まれています。食パン1枚とうどん1玉(200g)が大体同等の小麦タンパク質量です。あるうどんは1玉(200g)に5200mgの小麦タンパク質を含みますが、この食パンは6190mgの小麦タンパク質を含むので、そのうどん1玉より小麦タンパク質が多いことになります。ですから、うどん1玉を食べることができるようになった小麦アレルギーの児でも食パン1枚では症状が出る可能性はあります。

3大食物アレルギー食材から考えて見ました。なかなかお母さんは大変なことがわかります。しかし、このような計算は大体でいいのではないかと個人的には思います。なぜなら、アレルギーが起こる量は同じ児の中でも状態によって変化するからです。疲れていたり、運動したり、痛み止めを飲んだりするといつもより少ない量を食べても症状が起こります。重症の子以外は、症状が出現したときの対応を事前にしっかりしていれば、食べられる範囲を大体で食べていけばよいのではないかと思います。

余談ですが、牛乳100mlは飲める牛乳アレルギーの子が某社のソフトクリームを1個食べたあとに、全身蕁麻疹で受診しました。その会社のホームページにソフトクリームの成分表があり、タンパク質4.2gと書いてありました。ソフトクリームですから牛乳タンパク質が多く占めているものと思われます。そうしますと、このソフトクリーム1個は牛乳に換算すると4200(mg)÷33(mg/ml)=127mlです。この子はギリギリ牛乳100mlはセーフだったことがわかります。

*この記事では加熱や副材料による食材のアレルギーを起こす力の変化には言及しませんでした。またの機会にしたいと思います。

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計算してみました・・・食パン編

投稿日:2017/02/05

先週は当院で食物アレルギーを始めた大家の先生の外来の見学をさせていただきました。多くのことを勉強させていただきましたが、食パンの話になったときに、銘柄別に含有されている牛乳の量をmg単位で説明していたのは「さすがだ」と思いました。

私もやってみました。

とあるメーカーの食パン一枚あたり

牛乳タンパク質:177mg、鶏卵タンパク質:145mg、小麦タンパク質:6190mg です。

ちなみにアレルギーを起こすのはタンパク質です。糖や脂質などは一般的にはアレルギーを起こしません。ですから、食材のタンパク質の量で考えていきます。

牛乳:牛乳1mlあたり約33 mgの牛乳タンパク質が含まれています。するとこの食パン1枚あたりには177(mg)÷33(mg/ml)=5.4mlの牛乳が含まれていることになります。牛乳10mlを飲める子はこの食パンは食べることができそうです。

鶏卵:卵1個には6273mgのタンパク質が含まれています。この食パン1枚あたりには145(mg)÷6273(mg/個)=0.023個の鶏卵が含まれていることになります。卵1/50個分が含まれており、揚げ物の衣(卵約1/8個分)やハンバーグのつなぎの卵(卵約1/4個分)が食べることができる子はこの食パン1枚は食べることができそうです。お菓子になると、商品や食べる個数によって個別対応が必要です。

小麦:パンは麺類と比較すると小麦タンパク質が多く含まれています。食パン1枚とうどん1玉(200g)が大体同等の小麦タンパク質量です。あるうどんは1玉(200g)に5200mgの小麦タンパク質を含みますが、この食パンは6190mgの小麦タンパク質を含むので、そのうどん1玉より小麦タンパク質が多いことになります。ですから、うどん1玉を食べることができるようになった小麦アレルギーの児でも食パン1枚では症状が出る可能性はあります。

3大食物アレルギー食材から考えて見ました。なかなかお母さんは大変なことがわかります。しかし、このような計算は大体でいいのではないかと個人的には思います。なぜなら、アレルギーが起こる量は同じ児の中でも状態によって変化するからです。疲れていたり、運動したり、痛み止めを飲んだりするといつもより少ない量を食べても症状が起こります。重症の子以外は、症状が出現したときの対応を事前にしっかりしていれば、食べられる範囲を大体で食べていけばよいのではないかと思います。

余談ですが、牛乳100mlは飲める牛乳アレルギーの子が某社のソフトクリームを1個食べたあとに、全身蕁麻疹で受診しました。その会社のホームページにソフトクリームの成分表があり、タンパク質4.2gと書いてありました。ソフトクリームですから牛乳タンパク質が多く占めているものと思われます。そうしますと、このソフトクリーム1個は牛乳に換算すると4200(mg)÷33(mg/ml)=127mlです。この子はギリギリ牛乳100mlはセーフだったことがわかります。

*この記事では加熱や副材料による食材のアレルギーを起こす力の変化には言及しませんでした。またの機会にしたいと思います。

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