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診療案内

アレルギー科

食物アレルギー

問診:

症状が起こる前に摂取した食材と起こった症状をお尋ねします。実はこれがどんな検査よりも大切なことなんです。原因として考えられる食材を絞るとともに、起こった症状から重症度を推測します。

血液検査:

アレルギーの原因として疑われる食材に対する抗体を測定します。検査結果がでるまでには約1週間かかります。ただし、血液検査の結果とアレルギーの有無は必ずしも一致しません。うーんっと検査結果とにらめっこすることが必要です。

プリックテスト:

必要に応じて実施します。皮膚に食材のエキスを垂らして、細い針でほんの少しだけ皮膚に傷をつけます。15分後、そこに蕁麻疹ができていないか判定します。

赤ちゃんは血液検査よりもプリックテストのほうが正しい結果が出やすいと言われています。また、口腔アレルギー症候群の原因となる果物の特定もプリックテストが優れています。

負荷試験:

食物アレルギーにおいて、もっとも信頼できる検査です。アレルギーが疑われる食材を一定の間隔で少しずつ摂取します。当院ではお子さんの負荷試験は外来で、30分間隔の2回に分けて摂取します。例えば、牛乳10mlを摂取できるか検査する時はまず、3ml飲んで、30分間観察し、症状がなければ残りの7mlを飲むという手順です。
成人の負荷試験は熊本労災病院で木曜の午後に1泊2日で私が診療協力医として行います。 重症のお子さんは入院施設のあるアレルギー専門の病院で検査していただくこともあります。 →疾患コラム

食事指導:

お子さんの場合はアレルギーだから全く食べないようにするというよりも、食べることができる量を検査で確認し、その範囲で定期的に食べていくことが早く食物アレルギーを卒業できると示唆されています。具体的な資料を使いながら食べることができる量を相談します。大人の場合は治ることは一般的には難しいので食べないようにする説明となります。

気管支喘息

問診・診察:

喘息の症状は、“繰り返す”、“長引く” 咳、呼吸困難ですが、その症状が出やすいのは夕方〜朝方、運動のあとや風邪をひいたときなど、特徴があります。また、喘息には遺伝的な要素や他のアレルギー疾患を合併しやすい特徴があるので、両親や兄弟に喘息の方がいないか、アトピー性皮膚炎はないかなどをお尋ねします。
聴診では息を吐く時に高い“ヒュー”という音がするのが特徴的です。しかし、赤ちゃんでは気管支がまだ狭く柔らかいので、風邪をひいただけでも同じような音がしますし、大人ではタバコで傷んだ肺や心不全によって同様の音がします。よって、ヒュー音がするから喘息と言い切ることはできませんが、喘息を示唆する重要な音です。

肺機能検査

喘息の方が息が苦しくなったり、ヒュー音がするのはイラストのように気管支の壁がむくんだり、ギュッと縮むことにより空気の通り道である気管支の内腔が狭くなるからです。どれくらい狭くなっているかを目に見えるように数字や形で表すものが肺機能検査です。



下の肺機能検査の図は息を吐くスピードを形にしたものです。予測値というのが正常の形です。息の吐き始めにピークがきて、そのあとはまっすぐ減速していきます。それが、喘息では青のラインのように、ピークの山が低くなり、そのあと下にたわんだような形になります。気管支が狭くなって、息を吐き出しにくいから、このような形になります。さらに、気管支を拡げるお薬を吸入したあとがピンクのラインです。喘息の方だとこのように明らかな改善を認めます。また、治療が不十分でも大きな改善を認めるので、治療強度の指標にもなります。



もちろん当院でも肺機能検査を導入しております。



吐いた息の成分から肺の中の炎症の成分を測定する検査も当院では実施できます。10秒間(お子さんは6秒間)息を吐くだけで測定できます。
喘息の方では高い値となりますし、治療をしている方でしたら吸入薬がきちんと気管支の炎症を沈静化しているのかの判断ができます。

呼吸器専門の医療機関として、気管支内の抵抗を測定できる機械も導入しております。こちらはリラックスして普通に呼吸を数回している間に測定するのでとても楽な検査です。検査結果も色で表現され、視覚的にわかりやすくなっています。

血液検査:

アレルギーの関与を判断します。小児喘息ほどアレルギーが悪さをします。その代表がダニです。ダニに抗体を持っており、度々発作を起こす方にはダニを減らす対策を説明します(→疾患コラム)。ペットやカビへの抗体も必要に応じて測定します。

治療:

気管支を拡げるだけの治療ではなく、喘息の本態である炎症を沈静化する治療が必要です。その理由は2つあり、詳細は疾患コラムをご参照下さい。
疾患コラム①疾患コラム②
炎症を沈静化させる薬剤は吸入薬のことが多いのですが、飲み薬と違い、吸入薬には吸い込むコツがあります。当院では吸入の説明に力を入れています。
疾患コラム①疾患コラム②疾患コラム③

アトピー性皮膚炎

問診:

アトピー性皮膚炎の特徴は
①かゆい
②悪くなったり改善したりしながら持続する(6ヶ月以上、乳児は2ヶ月以上)
③できやすい場所がある
赤ちゃん:顔、頭から始まる、幼児〜小児:頸部、肘・膝などの関節部
成人:上半身に強い傾向
この点をまずはお尋ねします。そして、やはり、他のアレルギー疾患の合併やご家族のアレルギー疾患の状況なども参考にします。アレルギー疾患は1人の身体の中で連鎖しますし、世代間でも連鎖しやすいのです。
視診:典型的な部位に赤みを帯び、触れるとザラザラした湿疹を認めます。湿疹は長期間持続すると1番右の成人の肘のように黒ずんで皮膚が厚くなるためにシワが目立つようになります。


血液検査:

TARCという物質がアトピー性皮膚炎の勢いの指標となります。好酸球というアレルギーに関与する細胞の数も参考になります。

治療:

2大柱は①スキンケアと②ステロイド軟膏や免疫抑制剤の軟膏による炎症の沈静化です。①の保湿剤と②のお薬の軟膏には塗り方があり、湿疹を治療するためにはとても大切なポイントです。当院では資料を作成し、軟膏の塗り方を説明させていただきます。疾患コラムでもご確認ください。→疾患コラム
また、①スキンケアには入浴の仕方も大切です。当院には乳児バスを設置して、沐浴の勉強会を開催します。重症の湿疹がある赤ちゃんはアレルギー専門の病院では入院をしてスキンケアを行いますが、当院でも重症の赤ちゃんのスキンケアのお手伝いを致します。


アレルギー性鼻炎・花粉症

問診:

アレルギー性鼻炎の症状(くしゃみ、鼻汁、鼻づまり)があるか、毎年症状がでやすい季節がないかをお尋ねします。もちろん、ご家族やご本人のアレルギー性疾患の状況もお聴きします。鼻の中を覗かせていただき、アレルギーに特有の白っぽくむくんだ粘膜になっていないか観察します。

鼻水の検査:

鼻水は色々な原因で起こりますので、アレルギーが原因かを鼻水から検査します。鼻水を少しいただき、顕微鏡でアレルギーを起こす細胞である好酸球がいないかチェックします。

血液検査:

問診・診察、鼻水の検査からアレルギーが原因と思われたら、原因物質の特定が必要です。結果は後日になりますが、血液検査を行い、原因物質の推定を行います。

治療:

治療は内服薬や点鼻薬を選択または併用して行います。現在、ダニとスギに関しては舌下免疫療法を行うことができます。少量のダニまたはスギの成分を毎日、舌の下において、身体をならしていく治療です。身体の中のアレルギーを抑える反応を呼び起こすのです。内服薬と点鼻薬を併用しても効果が不十分、内服薬の副作用の眠気がつらい方には特にお薦めです。詳細は疾患コラムでどうぞ。 →疾患コラム :アレルギー性鼻炎全体のまとめも疾患コラムへどうぞ→疾患コラム

呼吸器内科

肺気腫

タバコの煙で肺が壊されていく病気です。写真のように正常の肺は吸いこんだ空気が入る小さな部屋が無数にありますが、肺気腫ではこの部屋の壁が壊れて、大きな部屋となり、多数の空洞ができます。

肺気腫は喘息との区別が難しい疾患です。過去も含めて喫煙の経験があり、階段の昇り降りの動作での呼吸苦が最初の症状となります。喘息と同じように肺機能検査が診断と重症度の決め手になります。治療は気管支を拡げる薬剤の吸入になりますが、壊れてしまった肺は元には戻りません。一日も早い禁煙が何より大切です。喫煙をされていて階段を昇ると最近息切れがひどくなったという方には、肺機能検査をお薦めします。
また、肺癌の発症率も増加しますので、定期的なレントゲン・CT検査をお薦めします。

感染症

もっとも多いのは急性ウイルス性上気道炎、いわゆる“風邪”です。鼻水が出て、喉が痛くて、咳もあるというように複数の症状を一度に認めるのが特徴です。抗菌薬を内服したくなるところですが、ウイルスには抗菌薬は効きません!また、細菌感染の予防効果もありません!それどころか、抗菌薬には下痢や腎機能障害、薬剤性の肺炎などの副作用を認めることがあります。内服するメリットがそれなりにないとお薦めできません。風邪の治療は主に症状の緩和が目的となります。
特定のウイルスや細菌に対しては、迅速検査がありますが、当院では早期診断をモットーに迅速検査の機器を導入しております。発症早期のウイルス・細菌量が少ない時期から機械で自動検出することで、従来なら陰性となっていた時期でも正しく検査結果を出すことができる可能性が高まりました。

在宅酸素療法・在宅人工呼吸療法

いずれの疾患でも呼吸不全の状態では酸素療法が必要となります。それは酸素が低い状態が続くと心臓が疲れてきて、心不全になってしまうからです。心臓を守るためにもご自宅で24時間酸素を吸入することが必要です。慢性的な疾患で呼吸不全の方には酸素濃縮装置を処方します。

更に肺結核後遺症や神経のご病気の方の中には、睡眠時の呼吸の補助が必要な方がいらっしゃいます。そのような方にはマスク型の人工呼吸器があります。
当院には呼吸療法認定士のスタッフもおりますので、定期的なフォローはお任せください。