喘息と言っても、実は色々なタイプがあります。ダニやカビ、ネコなどにアレルギーがあり、それらを吸入すると喘息発作が起こるのが“アトピー性喘息”と言われ、逆にアレルギーがない喘息を“非アトピー性喘息”と言います。子供はほとんどがアトピー性喘息で、年齢が進むほど非アトピー性喘息の割合が増えてきます。高齢者においてはアトピー性喘息<非アトピー性喘息となります。
喘息の治療の基本はステロイド吸入の継続です。しかし、アレルギー物質が周囲に多いとステロイド吸入をきちんとしてもコントロールが難しくなることもなり、アレルギー物質を周りの環境から減らすことも大切な治療の1つです。アトピー性喘息でもっとも多いアレルギーの原因物質がダニです。アトピー性喘息のほとんどの方がダニへのアレルギーを持っています。ダニへの対策がまず第一歩です。
ダニのプロフィールをまとめます。クリックして拡大させて御覧ください。
ダニは湿気が大好きです。日本のような高温多湿ではダニがいるのは、もはや仕方ありません。逆にアイスランドのような乾燥した国ではダニはほとんどいません。
例:アイスランドにて197人(20-44 y.o.)の自宅ベッドからハウスダストを採取→ダニはほとんど認めない (Allrygy 2004;59:515-519)
家の中で最も湿気が多いのは・・・布団です。
布団や部屋の掃除の仕方も大事ですが、それでも症状のコントロールに影響する方は防ダニシーツが選択肢に挙がります。
今までの臨床試験では防ダニシーツの有効性はそれほど証明できておりませんでした。その理由の1つとして臨床試験の対象が小児と成人が混在していたからと言われています。今回、な、なんと子供のダニにアレルギーを持ったアトピー性喘息だけを対象とした防ダニシーツの臨床試験が報告されたので紹介します。このような環境整備の臨床試験は昔のものばかりで、また掲載された雑誌も呼吸器領域で世界トップでしたので、個人的に嬉しい気持ちになりました。高価な薬だけがいい医療ではないと思います。
平均7歳のダニにアレルギーのあるアトピー性喘息児284人がこの試験を行いました。おおよそ半分半分にわけて、防ダニシーツを使う群と普通のシーツ群で比較しています。
寝具のダニの量ですが、グラフから一目瞭然で減っています。吸入するダニの量は減らせそうですね。では、これが喘息の発作にいい影響を与えたのでしょうか。下記のグラフのように発作による入院割合は減っていますね。
吸入治療をしても、なかなかコントロールが難しい場合で、ダニの影響が大きいようでしたら、防ダニシーツは1つの選択肢になりそうですね。(AJRCCM 2017 article in press)
どの防ダニシーツがいいのかというのは申し訳ありませんが、情報を持ってないです。それほど私も現物を見たことがなく・・・アレルギー支援ネットワークでも販売していたので、ご覧になってみてください。掃除の仕方なども掲載されていますよ。
http://www.alle-net.com/info/info02/info02-06/