吸入指導で以前、スプレータイプのpMDIとpMDI+スペーサーの記事をアップしました。今回は、自分でお薬の粉を吸い込むタイプのDPIをまとめます。(吸入の写真は「メカニズムから見る吸入デバイスのピットフォール 日経メディカル」より転載してます)
以前も掲載したことですが、吸入薬には大きく2つの種類があります。略語ですが、pMDIとDPIです。pMDIはスプレーのイメージです。ボンベを押すとシュッと霧状・ミスト状の薬剤が出てきます。DPIは粉の薬剤を自分の吸い上げる力で吸い上げて吸入します。それぞれ特色があり、使い分けがあります。年齢という観点から使い分けた例が下の図です。
乳児から幼児はスペーサーをつけたpMDI、幼児から学童期に入る頃にDPIへ、そして、高齢になり、吸入する力が落ちてきたらpMDI±スペーサーというのを示しています。
今回はDPIです。ボンベを押すと薬が出てくるpMDIと違い、DPI製剤は種類によって吸入前の薬剤のセットの仕方が異なります。1回分の薬剤をセッティングしないといけないのですね。主に使用されているタービュヘイラーとエリプタ(いずれも吸入薬の製品名ではなく吸入器自体の名称)について触れます。タービュヘイラーは吸入薬ではシムビコートやパルミコート、エリプタは吸入薬ではレルベアですね。
では、吸入前の薬剤のセットのやり方を比較してみましょう。
吸入器にはあと何回吸入できるかを示す数字が表示されています。薬剤が入っていない状況で吸入しないようまずは残量を確認します。(写真は「メカニズムから見る吸入デバイスのピットフォール 日経メディカル」より転載)
次に1回分の薬剤をセットします。2つの吸入器はこのセットの仕方が異なります。
エリプタ:カバーを開けるだけで自動的に1回分がセットされます。ここで注意すべきは、カチッと音がするまでしっかりとカバーを開けるようにします。
タービュヘイラー:赤いグリップを右へ止まるまで回し、止まったら、左にカチッと音がするまで戻します。ここで大切なのはこの一連の動作を吸入器を垂直に立てた状態で行うことと、回す方向を間違えないことです。理由は下の図のようなタービュヘイラーの構造にあります。タービュヘイラーの吸入器の薬剤は薬剤貯蔵部に固められています。赤いグリップを右に回すことで薬剤貯留皿に薬剤貯蔵部から薬剤が落ちてくる、次に左に回して吸い込み口に薬剤を持ってくるのです。ですから、斜めや真横にして赤いグリップを回すと薬剤貯留皿に薬剤がきちんと落ちてこない、逆に回すと薬剤を吸い込み口に持ってこれないのです。この点がタービュヘイラーで1番多い間違いだと感じています。
1回分の薬剤のセットが済んだら、それを吸入するわけですが、その前の注意点は吸入器の持ち方です。吸入するということは薬剤とともに空気も吸い込むので、吸入器には空気の入り口があります。吸入器を持つ時に空気の入り口を塞いではいけません。
タービュヘイラーは上下に空気の入り口があるので注意して下さい。正しい持ち方の例です。(写真は「メカニズムから見る吸入デバイスのピットフォール 日経メディカル」より転載)
両吸入器とも吸入の時は水平にしてますね。タービュヘイラーは吸入器下部の赤いグリップを持つのが特徴的ですね。
いよいよ、実際に薬剤を吸い込みます。pMDIはゆっくり深呼吸をするように吸入するのでしたが、DPIは違います!早く、力強く吸入します。おおよそ30L/分の息を吸うスピードが必要です。30L/分??とは実感しにくいですね。長いストローでジュースを吸い上げたり、麺をすするイメージです。医療機関には吸入薬と同じ形をした笛があります。息を吸うスピードがおおよそ30L/分になるとピーっと音が鳴ります。音が鳴ると吸入できていそうだと感じることができます。
息を吸うスピードが30L/分になるタイミングもあります。
上の図は少しわかりにくいですが・・・上のグラフは吸入器から放出された薬剤量です。下のグラフは吸入器を加えて吸い込む勢いのスピードです。上のグラフから薬剤の放出は吸入を開始してから0.4秒、そう一瞬で終了してます。吸入開始時から力強く吸入することが大切です。
吸入しましたらpMDI同様に息止めが必要となります。そして、うがいですね。
では、毎日の吸入を頑張って行きましょう!