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喘息というのはゼェゼェして、息が苦しそうというイメージを皆さんはお持ちのことが多いのではないでしょうか。
咳に困って当院にいらっしゃる患者様に肺機能検査をして、「喘息です」と説明すると、大人の方もお子様の保護者の方も、とても驚かれることがあります。
喘息というのは典型的な症状や聴診音、検査結果はあるものの、それらの典型的な要素がないことが喘息の否定にはなりません。また、症状や検査結果は一定ではなく、波がありますので、どのタイミングで患者様を診察するかで診断の難易度は変わってきます。治療してよくなるかどうかで診断(診断的治療)することも多々あります。当院では、できるだけ客観的な指標で、喘息の診断・治療をするために症状の点数化を行い、肺機能検査を定期的に行っております。症状と肺機能検査の結果が不一致を起こすことも多々あります。
そのような難しい喘息の診断・治療の中で、運動誘発喘息の診療は特に難しいです。日頃は症状がなく、心拍数が上昇する程度の運動をすると咳が出る・息苦しいなどの症状が出現します。ですから、診察室では症状がないことはもちろん、安静な状態で行う肺機能検査では異常はありません。患者様本人から運動したときの症状を聞きながら、治療の内容を調節しておりましたが、きちんと治療の調整をしなければと思い、運動負荷試験を始めました。ランニングマシーンの上を6分間走り、その直後から肺機能検査を数回実施します。
下に実際の検査の結果を添付します。1枚目のスライドは黒の点線が年齢に応じた平均的な肺機能のグラフです。赤の点線が実際の患者様の肺機能のグラフです。運動後に大きく肺機能が低下しております。2枚目のスライドでは、治療前には運動終了5分後に肺機能の低下(青線)がありましたが、治療により運動終了5分後の肺機能の低下がなくなっている(黄色線)のを示しています。実際には喘息のお子様はこのような運動時の肺機能低下があります。また、運動をするたびに肺機能の低下→改善を繰り返すことで、気管支は硬く変形し、肺機能の成長が阻害されるのです。