こんにちは。いでアレルギー・ぜんそくクリニックです。
今回は卵アレルギーについて、患者様からよくいただくご質問をもとに、特に「加熱すれば大丈夫?」「市販のお菓子は?」「魚卵も避けるべき?」といった疑問にお答えします。
※こちらの記事では、卵アレルギーは「鶏卵アレルギー」のことを指しております。
卵アレルギー(鶏卵アレルギー)について
卵アレルギーは日本の食物アレルギーで最も多いと報告されています。
卵アレルギーは特に乳幼児期に多く見られ、日本では鶏卵が食物アレルギーの原因食品として最も多く報告されています。多くの場合は成長とともに改善が見られますが、年齢が進んでもアレルギーが残るお子さんや成人例もあります。
卵アレルギーの原因となるのは、ほとんどが卵白中のタンパク質です。その中でも最もアレルギーを起こしやすいタンパク質が「オボムコイド」です。
卵アレルギーは加熱すれば大丈夫ですか?
重症度によりますが、加熱しても安全とは限りません。
卵のたんぱく質は加熱によってアレルゲン性(アレルギー症状を引き起こす力)が低下する傾向があります。特に卵白の「オボアルブミン」などの加熱に弱いたんぱく質は、加熱することで反応しにくくなることがあります。一方で、「オボムコイド」は加熱に強く、十分に加熱してもアレルギーを引き起こす場合があります。
そのため、「加熱すれば安心」という自己判断は非常に危険です。どの程度食べることができるようになっているかを負荷試験も含めて医師の指導のもとで確認する必要があります。
卵アレルギーの場合、市販のお菓子やパンは避けるべきですか?
原材料を必ず確認しましょう。多くの商品に卵が使われています。
なお、クッキーやパンといった小麦と一緒に調理された場合、アレルゲン性(アレルギー症状を引き起こす力)が低下する、という報告があります。
アレルギーの程度が軽い場合、医療機関での経口負荷試験の結果をもとに、少量摂取が可能かを判断します。
卵アレルギーとたまごボーロについて
基本的には鶏卵が主成分ですので、注意が必要です。
また、先述の「小麦と一緒に調理された場合、アレルゲン性が低下する」ということと関連すると、たまごボーロは小麦ではなくデンプンと調理されるため、クッキーやパンと比べてアレルギーを起こす力は残りやすいと言えます。
鶏卵アレルギーの魚卵(いくら・たらこなど)も避けるべきですか?
魚卵と鶏卵のアレルギーは無関係です。
「卵アレルギーだから魚卵もダメですか?」というご質問をよくいただきますが、鶏卵と魚卵はまったく異なるアレルゲンです。たんぱく質の構造も異なるため、魚卵にアレルギーがなければ食べても問題ありません。
ただし、魚卵自体にアレルギーを持っている方は存在しますので、「食べると喉がかゆくなる」「じんましんが出る」といった経験がある場合は要注意です。
まとめ
本記事が卵アレルギーのある方、卵アレルギーについて興味のある方にご参考となれば幸いです。
いでアレルギー・ぜんそくクリニックでは、卵アレルギーを含んだ食物経口負荷試験を日帰りで実施しております。お気軽にご相談ください。
さらに食物アレルギーについて詳しく知りたい方、当院への受診についてはこちらをご覧ください!(当院HP)
※食物アレルギーのある方は必ず主治医の指導の元、食品を摂取するようにしてください。
本記事は卵アレルギーの方の、各種食品摂取を推奨する記事ではございません。
本記事を書いた人
いでアレルギー・ぜんそくクリニック
院長 出口秀治
- 日本内科学会認定専門医
- 日本アレルギー学会認定専門医
- 日本呼吸器学会呼吸器認定専門医
- 日本喘息学会喘息認定専門医
熊本県八代市でアレルギー科「いでアレルギー・ぜんそくクリニック」を開業。
食物アレルギーと喘息という2つの専門分野をもとに診療を行っている。食物経口負荷試験は年間500件以上実施している(直近年度実績)。